家族信託は節税になる?_誤解を整理して正しく理解する
Contents
家族信託に関するご相談の中で、「家族信託で税金が安くなると聞いたのですが?」という質問をよく受けます。残念ながら、これは大きな誤解です。家族信託は「節税ツール」ではありません。この記事では、家族信託と税金の関係を正確にお伝えします。
■ 1.家族信託は節税にならない
家族信託を設定しても、相続税・贈与税・所得税の税額が自動的に下がるわけではありません。日本の税法では、信託を通じた財産移転について「実質的な受益者(受益者)に課税する」という考え方(パススルー課税・受益者等課税信託)が採られています。
つまり、信託財産の法律上の名義が受託者(子)になっても、税務上は「受益者(委託者本人)」のものとして扱われます。したがって、贈与税や相続税は信託設定によって免除されるわけではありません。
■ 2.よくある誤解と正しい理解

誤解①「信託すると贈与税がかからない?」
→ 受益者が委託者本人の場合、名義変更があっても経済的利益の移動がないため、贈与税は発生しません。ただし、「他の人を受益者にする(他益信託)」場合は贈与税が課税されます。「贈与税がかからない」のは節税ではなく、制度の仕組み上、移転がないと判断されるからです。
誤解②「不動産を信託すると相続税が減る?」
→ 信託した財産は、受益者が持っているものとして相続税の課税対象になります。信託の有無によって相続税評価額は変わりません。
誤解③「信託設定で相続財産を減らせる?」
→ 信託は財産の「所有者(名義)」を変えますが、「受益者」が変わらないかぎり相続財産は変わりません。受益権そのものが相続財産となります。
■ 3.では、なぜ家族信託を使うのか?
家族信託の価値は節税ではなく、「財産管理の継続性と柔軟性」にあります。
- 認知症になっても財産が凍結されず、家族が管理を継続できる
- 賃貸経営・事業承継・障がいのある子へのサポートを法律的に設計できる
- 遺言では実現できない「財産の使い道・複数世代への承継」を決められる
これらは「節税」とは異なる価値です。しかし、「意思決定できなくなって財産が凍結されるリスク」を防ぐことで、結果的に家族の経済的損失を防ぐことができます。この「凍結リスクを防ぐ」ことの経済的価値は、相続税の節税に勝るとも劣らない価値があると、当職は考えています。
■ 4.組み合わせて節税効果が出る場合もある
家族信託単体での節税効果はありませんが、他の生前対策(生前贈与・小規模宅地等の特例・生命保険活用など)と組み合わせることで、トータルでの税負担を軽減することは可能です。こんどう事務所では、家族信託の設計と並行して相続税対策も税理士と連携してご提案しています。
⚠ 「家族信託で節税できる」という説明を受けた場合は、内容を必ず専門家に確認してください。誤った設計は税務リスクを生む可能性があります。
家族信託相談所では、家族信託についての正確な情報をわかりやすくお伝えします。「本当に自分に必要か?」を一緒に考えますので、まずはお気軽にご相談ください。